目次
前回に引き続き、今回はH90 Harmonizerの新アルゴリズムを紹介していきたいと思います。
前回の記事↓

今回はもう一つのアルゴリズム、「VocalShift」!!
VocalShift

VocalShift:一つの声を豊かで生き生きとしたクワイアに変貌したり、繊細なダブリングから広がりのあるボーカル・アンサンブルなどを創り出す
- 各音声にピッチとフォルマントを設定できる3つの独立したボイス
- インテリジェントなスケール認識によるピッチパーフェクトなハーモニー
- パフォーマンス機能として、ボイス・ソロ、ピッチグライド、ピッチホールドを搭載
オートチューン系のエフェクトであるVocalTuneに対して、VocalShiftはハーモナイザー的なエフェクトです。
パラメータ一覧
- Mix
- Root:キーを設定する
- Scale:スケールを選択する(Major, Minor, Chromatic, Ionian, Dorian, Phrygian, Lydian, Mixolydian, Aeolian, Locrian, Harmonic Minor, Harmonic Major, Melodic Minor)
- Tuning Speed:ピッチ補正が完了するまでの時間(0-500ms)
- Quant:スケールクオンタイズのOn/Off
- Formant Link:三声のフォルマントをまとめて調整(-100 ~ +100)
- Shift A:第一声のトランスポーズ(Unison, ±2nd, ±3rd, ±4th, ±5th, ±6th, ±7th, ±1oct)
- Shift B:第二声のトランスポーズ
- Shift C:第三声のトランスポーズ
- Formant A:第一声のフォルマント(-600 ~ +600c, 10cごと)
- Formant B:第二声のフォルマント
- Formant C:第三声のフォルマント
- Delay A:第一声のディレイ(~1000ms)
- Delay B:第二声のディレイ
- Delay C:第三声のディレイ
- Feedback A:第一声のフィードバック(~99)
- Feedback B:第二声のフィードバック
- Feedback C:第三声のフィードバック
- Pan A:第一声のパンニング
- Pan B:第二声のパンニング
- Pan C:第三声のパンニング
- Gain A:第一声のゲイン(-60 ~ +6 dB, 0.5dBごと)
- Gain B:第二声のゲイン
- Gain C:第三声のゲイン
- Glide A:音程間を繋ぐ時のグライド(Unison, ±m2, ±M2, ±Tri, ±P5, ±m6, ±M6, ±m7, ±M7, ±1oct, ±P11, ±P12, ±2oct)
- Glide B
- Glide C
- Rise:音の始まりのピッチ上昇(0 – 3000ms)
- Fall:音の終わりのピッチ下降(0 – 3000ms)
- Quant Error: ピッチ補正の精度/スケール音との誤差(0-50c)
- Latency:レイテンシー設定(Low/High)
- Detune:ディチューン
- Hold:三声間のグルーピングをする、または三声間でのメインを決める(A, B, C, A+B, A+C, B+C, A+B+C)
- Solo A
- Solo B
- Solo C
- In Gain
- Out Gain
- Tails:ディレイやリバーブに対して補正を行うかどうか
- Kill Dry
検証
今回は「Harmonized」と「Delay」を合わせたエフェクトを作ってみました。
※AIボイスチェンジャーによって作成した音声なので、音質があまり良くありません。ご了承ください。
Harmonized + Delay
・エフェクトOFF
・エフェクトON
音色が豊かになってる!!!
三声それぞれをかなり詳細に設定することができ、驚きました。
また、今回はメロディが細かく動く素材しか試せませんでしたが、長い音符のメロディにもきっと合うはず。
三声の設定内容はこんな感じ↓
- 第一声:定位は真ん中、1オクターブ下、フォルマントはかなり低め、ディレイなし
- 第二声:定位は少し左、1オクターブ下、フォルマントはかなり低め、1/2拍遅れている(BPM=144)
- 第三声:定位は少し右、1オクターブ上、フォルマントはかなり高め、1/4拍遅れている(BPM=144)
パラメータ設定はコチラ↓
- Mix:50
- Root : A
- Scale : Major
- Tuning Speed : 30ms
- Quant : on
- Formant Link : 0
- Shift A : -1oct
- Shift B : -1oct
- Shift C : +1oct
- Formant A : -600c
- Formant B : -600c
- Formant C : 600c
- Delay A : 0ms
- Delay B : ½(BPM=144)
- Delay C : ¼(BPM=144)
- Feedback A : 0
- Feedback B : 40
- Feedback C : 0
- Pan A : 0
- Pan B : -30
- Pan C : 30
- Gain A : -5.0dB
- Gain B : -10.0dB
- Gain C : -5.0dB
- Glide A : -P4
- Glide B : +P5
- Glide C : +P5
- Rise : 1000ms
- Fall : 200ms
- Quant Error : 0c
- Latency : Low
- Detune : 0c
- Hold : A
- Solo A : Off
- Solo B : Off
- Solo C : Off
- In Gain : 0dB
- Out Gain : 0dB
- Tails : Off
- Kill Dry : Global
応用プリセットがたくさん!
H90では2つのエフェクトを掛け合わせることができるため、このVocalShiftを使用したプリセットが収録されています。
リバーブをかけたり、歪ませたり、揺らしたり…
非常に沢山の効果が得られるので最高です!!
コチラで雰囲気掴めるかも↓
まとめ
前回から二回に渡ってご紹介したH90 Harmonizerの新アルゴリズム、いかがだったでしょうか。
ここまで精密なボーカルエフェクトが、主にギターやシンセに使うマルチエフェクターに追加されたのはかなり驚きですよね。
やはりまだまだ底の見えないエフェクターH90 Harmonizer。
これを機に、その進化に触れてみてはいかがでしょうか。
商品紹介

H90 Harmonizer
スタジオクオリティの62種類のエフェクトと柔軟なI/Oを備えたプレミア・マルチエフェクトペダル。ハイクオリティな基本的エフェクトも、前例のない実験的なエフェクトサウンドも、H90はプレイヤーを意識した直感的なUIでクリエイティビティを刺激するために必要なすべてを備えています。
製品ページ:https://tacsystem.jp/products/eventide/h90_harmonizer
Eventideについて
Eventideはデジタル・オーディオ・プロセッシングの老舗的メーカーで、ハーモナイザーという名称で知られるピッチコントロール技術を発明した数々の独創的なエフェクト技術を持つメーカーです。
