Avid Ada – AI技術で創造力をサポート

AIの技術を駆使して作業の効率化や制作の想像力をサポートする最新技術「Avid Ada (アビッド・エイダ)」はIBC2023で大きく取り扱われ、弊社の InterBEE 2023 Avid ソリューションコーナーのセミナーでも度々注目の新機能・新技術としてご紹介いたしました。今回は改めてこの「Avid Ada」についてご紹介します。

Avid Adaとは – AIの位置付け

昨今急速に進化するAI(人工知能)技術は、一般的にはコンピューターに人間の知能を模倣してタスクを実行する能力を持たせる技術やシステムを指します。生産性の向上やコスト削減が見込まれる一方、機械学習で得たリソースをアレンジするだけのコンテンツの量産になりかねないと疑問視されることもあります。

Avid ではAI技術を「co-pilot(副操縦士)」と位置付け、Avidのツールを使って制作を行うユーザーのクリエイティブなコンテンツ制作をサポートするいうコンセプトを打ち出し、その総称として「Avid Ada」を紹介しています。

機能実装例

作業時間を大幅に節約、効率的なワークフローを実現 – Media Composer

バージョン2023.8のMedia Composerでは、「PhraseFind AI」と「ScriptSync AI」機能(プレビュー)が搭載されました。既存オプションのAI機能のアップデートにより圧倒的な作業時間短縮に貢献できるようになりました。

例えば、クリップの文字起こしをAIを活用して自動で行い、文章のセンテンスに合わせて自動でマーカーを付与できるようになりました。動画を再生しなくても内容が把握できるので、必要なクリップの抜き出しの大幅な時間短縮が可能です。また単語やフレーズでクリップの検索ができるようになり、特定のメディアや映像を検索することが容易になりました。なお、AIの処理はクラウドにアクセスせずローカルで行われるので、コンテンツの機密性も保たれます。

オリジナルの学習データから参照して内容を提案 – Sibelius

AIエンジンを活用したSibelius 2023.6では、コード記号の自動提案機能が搭載されました。パブリックドメインの楽曲データからデータを取り込み特別に学習させた、オリジナルのエンジンです。ただの予測変換機能ではなく、入力されている音符の情報を参照して信頼値と共に候補のコード記号を表示します。コード記号を手動で入力していた時と比べて、大きく作業時間を短縮できます。

膨大なリソースの管理をサポートし、コラボレーションを容易に – MediaCentral

MediaCentral 2023.7の新機能では、AIの音声検索機能が搭載されました。特定の単語を入力すると単語について言及しているデータを検索できる機能で、撮影者と編集者、管理者が異なる複数人チームでの作業時にも特に役立ちます。

その他のAI活用

IBCやInterBEEで紹介された「テキストでAvid Adaに指示する」機能も魅力的でした。Media Composerに搭載予定の機能で、ビデオ内の会話の文字起こしと要約、「役立ちそうなシーンでサブクリップを作成」などのメッセージをAvid Adaに送信することで実際にサブクリップを自動で作成する機能など、使いこなせば非常に助かりそうな内容でした。

上記以外にもAvid Adaは、

  • Pro Toolsなどソフトウェア内のヘルプメニュー
  • Avid.comなどWebサイトでのトラブルシューティング

など、膨大なリソースの中から最適な情報を検索するというAIが得意とする場面で活用されます(搭載予定機能を含む)。

AI機能の強化により煩雑な作業をAIに任せ、本来人間が取り組みたい想像や制作という作業に集中できるようになるのではないでしょうか。今後も機能のアップデートや強化があると予想されるので、Tac information on-lineでは引き続き情報をお届けしてまいります。