Pro Tools 2023.12 リリース!~Dolby Atmos レンダラー内蔵/マーカー・Sketch機能強化

Dolby Atmos 内部レンダラーやトラックマーカー追加機能、I/O設定のカラーコードなど、IBCInterBEEでもかなりの注目を集めていた新機能が搭載されたPro Tools 2023.12がリリースしました!その他にもPro Tools Sketch の機能強化、H.264ビデオのSame As Source(SAS)バウンス対応、Native Instrument S シリーズ・コントローラー対応など多数の機能強化が含まれます。

より直感的なイマーシブ・ミキシングが可能になる強力な機能強化に加え、普段の音楽制作やポスト・ワークフローにも役立つ重要な機能拡張です。

機能内容PT IntroPT Artist PT StudioPT Ultimate
Dolby Atmos内部レンダラー××
Pro Tools Sketch 機能強化
トラックマーカー機能拡張
I/O 設定およびルーティング・カラー・コード
QT Same as Source バウンス(H.264)××
NI Kontrol S シリーズ対応
Pro Tools 2023.12 ラインナップごとの機能比較

統合型 Dolby Atmos レンダラーで内部レンダリングやモニターが可能

Dolby Atmos内部レンダラーがPro Tools Studio及びUltimateに搭載されました。外部レンダラーを使用することなくPro Tools 内部でDolby Atmosのミックスができるため、Dolby Atmosの設定と使用方法がこれまで以上に簡単になりました。

Dolby Atmos 統合レンダラー機能解説動画

モニタリングはバイノーラル、2.0、5.1、7.1、5.1.4、7.1.4、9.1.6(Ultimateのみ)をサポートしています。ライブ・リレンダー機能では5.1ラウドネス、バイノーラル、ステレオが利用可能です。

内部レンダラーと外部レンダラーはI/O設定内のタブで簡単に切り替えられるので、例えば自宅などの環境ではノートパソコンで内部レンダラーを利用してモニタリング、スタジオでは外部レンダラーへ接続というワークフローが容易に実現できます。Dolby Atmos素材の仕込みや作曲段階からスタジオ環境でのファイナルミックスに至るまで、利用環境に合わせて自由に幅広い用途で活用できます。

内部レンダラーの表示モードは独自にデザイン強化された視覚化ウィンドウが導入され、Atmosミックスを3D視点で視覚的・包括的に確認できます。TheaterモードやPersonモードはマウスで自由に回転も可能です。I/O設定タブではトリム+ダウンミックスベッド、オブジェクト、グループなどの設定が簡素化されており、セッションの一部として保存されるので簡単に呼び出すことができます。

Dolby Atmos 統合レンダラー画面

パスの色分け機能搭載 – オブジェクトやI/O設定をグループ・カラーコード化

Dolby Atoms レンダラー内蔵に伴って、複雑化するオブジェクトやチャンネルを視覚的に見やすくするため、グループ化・カラーコード化の機能が搭載されました。イマーシブミックス以外の場面でも役立ちます。

Input/Output/Busごとに色をつけたり、オブジェクトをグループに分けてグループごとのカラーを設定したりできます。チャンネルやオブジェクトに設定された色は編集ウィンドウやミキサーの各インサートやI/O情報にも反映されるので、トラック間のルーティングを視覚的に簡単に確認可能です。カラーパレットには彩度スライダーが含まれているため、お好みに合わせて色を調整したり、完全にオフにしたりもできます。

カラーコード化されたPro Tools 2023.12ミキサー画面

統合型 Dolby Atmos レンダラー追加情報

Dolby Atmos 統合レンダラーはPro Tools Studio及びUltimateで利用可能で、Pro Tools に内蔵されているため追加製品や追加インストールは不要で、Windows環境でもご利用いただけます。

Pro Tools Dolby Atmos Renderer 詳細情報 (Avid)

トラックマーカー機能の拡張

Pro Tools 2023.6でトラック・マーカー機能が導入されましたが、今回の2023.12では使いやすように大幅に機能強化されました。

Pro Tools 2023.12 トラックマーカー追加機能解説

編集ウィンドウで最大5つのマーカー・ルーラーを使用できるようになり、個別に表示・並べ替え・名前の変更もできます。メモやピクチャーカット、セッションのセクションなどそれぞれのレーンで異なる種類・カテゴリのメーカーの整理がしやすくなりました。レーン数も増えているので、テキスト同士の衝突も防げます。

フィルタリング

メモリーロケーションウィンドウではマーカー・ルーラーの検索機能が簡単にできるようになりました。マーカー番号、コメント・マーカー名などの文字列、色などで検索にフィルターをかけることができ、膨大なマーカー数・長編のプロジェクトでも必要な情報に素早くアクセスしやすく、視覚的にも確認しやすくなります。それ以外にも、セッションインポート時に大量に取り込まれる不要・未使用マーカーの削除にも役立ちます。編集ウィンドウでマーカー・ルーラーの範囲選択も可能で、選択範囲のみをメモリーロケーションウィンドウに表示させることも可能です。フィルターにはプリセットを登録できます。

メモリーロケーションウィンドウと編集ウィンドウのマーカー

Pro Tools Sketch 機能強化

Pro Tools 2023.12 Pro Tools Sketch アップデート解説

iPad版のSketchでは、自動保存機能が搭載されました。保存せずにアプリを終了した場合も次の起動時に復元されます。また、シーン・アレンジの操作をよりスムーズ巣にするため、Arrangement上にある個々のSceneで新たに再生ボタンが追加され、選択したSeneからの再生が可能になりました。

デスクトップ版のSketchでは、Sketch ウィンドウからMIDIトラックまたはインストゥルメントトラックにMIDIクリップをドラッグした際に、MIDI情報を引き継ぐことができるようになりました。ドラッグ後、編集ウィンドウで引き続きMIDIデータとして編集が可能です。

Pro Tools 編集ウィンドウからSketch ウィンドウにオーディオクリップをドラッグした場合、クリップのシグナルチェーンをレンダリングするため、クリップゲインやクリップエフェクト、EQなどを含めた状態で登録できるようになりました。

またサウンドライブラリがより分かりやすいフォルダ分けに変更され、Pro Tools セッションにSketchの埋め込みもできるようになったので、ライブラリの保存場所や管理が明確になりました。

Pro Tools Sketch 2023.12新機能 (Avid)

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