株式会社 サウンドインスタジオ様/Avid S6

株式会社 サウンドインスタジオ様 F Studio
AVID S6

1979年に日本テレビ音楽(株)のスタジオ部門として開業したサウンドインスタジオ様は、今年40周年を迎えました。

この記念すべき年、F Studioで2004年からご利用し続けて頂いたAvid (旧Digidesign) D-Control 32 Fader仕様のコンソールをAvid S6にリプレイス。

同時にPro Tools HDXシステムのオーディオインターフェイスをMTRX、モニターコントロール部はTAC VMC-102をチョイス。
この改修工事に関するお話を、スタジオグループ部長 河野氏、ファシリティマネジメント部長 大槻氏にお話をお伺い致しました。


タックシステム 益子(以下[タ]):この度、D-ControlからS6へアップデートを決断して頂き、ありがとうございます。恐らく御社が大手レコーディングスタジオ初となるS6導入になると思うのですが、ご不安はありましたか?

サウンドインスタジオ 大槻様(以下[オ]):D-Controlからの入れ替えだったので、不安はありませんでした。

サウンドインスタジオ 河野様(以下[コ]):不安よりも新しいシステムになる期待のほうが大きかったです。

[タ]: Pro Tools のメインIOをMTRXにして頂きましたが、こちらの構成とその理由をお聞かせください。

[オ]: F StudioはレコーディングもMAも両立しなくてはならないスタジオなのですが、レコーディングを重視するとAD/DAの数は多く対 応しなけ れ ば なりません。合 計5スロットを 使 い、あとはVMC-102を接続する為にMADI Option、将来対応の為Dante Optionを増設させて頂きました。

[タ]: SI当初はMADI <>AD/DAコンバータとしてDirectout社製ANDIAMO2を検討して頂いてましたが、最終的にこちらの機材は外れましたよね?

[コ]: そうですね、最後まで悩んだのですが、最終的にはMTRX1台で全てを済ませた方がシンプルだという結論になり、DAカードを1枚増やしました。

[タ]: VMC-102をMTRXの制御用として選んで頂きましたが、こちらの経緯もお教えください。

[オ]: まず益子さんから言われたのは、万が一S6の制御ができなくなった、もしくはS6が起動できなくなった際、MTRXをPro ToolsのMacからEuConで制御をする方式よりVMC-102はネイティブプロトコルで直接MTRXを制御しているからより安心だとご説明を受け、まさにその通りだと感じたからです。

[コ]: レコーディングにおいて、Pro Toolsのサンプルレートが96kHzで運用されるケースは珍しくありません。MADIを利用したシステムでは対応できないかと考えていたのですが、VMC-102は96kHz運用も実現できるとご説明いただき、この時点で不安よりもメリットが大きいと確信できました。ボリュームコントロールはS6の物理ノブでも対応できますが、CUEやボリュームコントロールもVMC-102の方がノブが大きいですからね。自分達の欲しい設定を自由にアサインできるボタン等、VMC-102は自由度の高い良い選択だったと思います。

[タ]: Macの画面はQ Studio同様、一度SDI変換し、Blackmagic Design社のSmart Videohubへ入れるマルチ切換えシステムになりましたね。

[コ]: 昨年新設したQ Studioで初めてSDI接続を導入し、画質や映像のファイル変換の手間を省く上でお客様やエンジニア様から高評価をいただきました。必然的に今回も同様のシステム導入となりました。この点もタックさんのおすすめパターンとして、今後既存スタジオの映像システムアップデートも同様になると思います。

[タ]: ICONの時にご利用されていたアナログフェーダーも流用できましたね。

[オ]: 板金をしてもらい、うまく収まったのは良かったです。Hybridなコンソールとして弊社仕様になったことは嬉しいです。ICON時代を知っているエンジニアの方々にもきっとS6を気に入ってもらえる形になりました。

[タ]: 最後に全体的なご感想をお聞かせください。

[コ]: F Studioは…実は以前から部屋のサイズや構造上の影響で、低音域の鳴り方に不満を持っていました。部屋の問題だと思っていたのですが、なんとMTRXから出る音が、この問題を大幅に軽減しており、正直驚きました。長年の悩みが解決したのが本当に驚いております。

[オ]: 弊社の運用が近年急激に変わってきてます。音楽制作だけでは無くMA等にも対応しなくてはならなくなってきている昨今、元々F StudioはI-CONという自由度の高いコンソールで人気もありました。今回その自由度が更に1段階ステップアップしたことは弊社にとっても重要なポイントになりました。40周年という節目にF Studioが改修できて良かったです。ご協力頂きありがとうございました。


ということで、商用レコーディングスタジオならではのAvid S6システムとなったこの事例をご参考にしてみては如何でしょうか?Avid MTRXとVMC-102という一見すれば同じ機能を持ち合わせたシステム同士の機材を入れることで、Avid S6がより一層素晴らしいシステムになる良い事例だと考えております。益々機能が向上するVMC-102を是非ご検討下さい。

左からタックシステム 益子、サウンドインスタジオ 河野様、サウンドインスタジオ 大槻様

*この導入事例は、TACインフォメーションVol.54 Winter 2019掲載記事です。