株式会社 IMAGICA Lab. 様 湾岸スタジオ内インジェストルーム
今回はADDER INFINITYシステムの導入事例をご紹介します。
まず簡単にADDERLink™ INFINITY システムとは・・・
IP伝送を用いることによって従来のKVMシステムとは全く異なり、延長、切り替えといったマトリクス機能をIPアドレス管理によって実現する非常にフレキシブルで安定したKVMマトリクスシステムです。ADDER社のフラグシップモデルとして、リリース当初から世界中で何千ものお客様から信頼されています。
都内を中心に数多くのスタジオをお持ちの株式会社IMAGICA Lab.様は、IMAGICA Lab. 湾岸スタジオ内にある自社のインジェストルームにKVM Matrixシステムとして、約5年前にADDER INIFINITYシリーズを国内でも早い段階で導入していただきました。
当時KVMシステムとしてADDERを選択した経緯と実際の使用感について、(株) IMAGICA Lab. シニアテクニカルディレクター 工藤氏にお話を伺いました。
タックシステム 藤田(以下[タ]):ADDER INFINITY SYSTEM の導入事例、ご協力いただきありがとうございます。すでに導入していただいて数年たっておりますが、当時ADDERを選んだ経緯をお伺いできますか?
IMAGICA Lab. 工藤様(以下[ク]):湾岸スタジオができたのが今から約15年前なのですが、その頃はまだTV番組のオフライン編集では VHS が多く使われていました。弊社はこの頃 “これから先、PCで作業をやる時代が来るであろう” と着目していて、実際に品川のスタジオには初期の Avid社 Media Composer や「NLD」という独自開発のリニアライクでPC上でデータを収録できるシステムを導入していました。湾岸スタジオを作る際、ちょうど Apple の Mac が Intel Mac になり劇的に進歩して、マルチ編集ができることがわかったんです。そこからは “Appleのコーデックをインジェスト出来るのはなんだろう?” と視点を変えて色々調べた結果、対応製品があることが分かって・・・。最終的に Apple の Xsan も導入して、Appleだけで湾岸スタジオのシステムを作りました。全部で24ch分のシューティングがインジェストできるシステムでした。この時一緒に導入したのは別メーカーのKVMシステムでした。
[タ]:当時XsanもSanとしてはとても安価で画期的でしたね。
[ク]:そうなんですよね。それから6~7年後くらいに、当時導入していた機材のサポートが終了になるのをきっかけに、システム更新をすることになりました。この時、第一選定はADDERではなく、別メーカーのKVMだったんです。実際にデモンストレーションを見に行ったのですが、こちらが希望していた機能がその製品にいつ搭載されるのかが分からず、共信コミュニケーションズ(現:レスターコミュニケーションズ)様に相談したところ、「ADDER」を紹介されたんです。
[タ]:どういった機能を求めていたのですか?
[ク]:KVMマトリクスではどうしても運用上「先取り/後取り」が発生します。当時使用していたKVM製品は、画面取得時のキーボードマウスの動きを「先取り/後取り」どちらを優先するのか設定が出来ました。
[タ]:複数人で複数のPCを扱う場合は、キーボードマウスが先取りなのか、後取りなのかは結構重要ですよね。
[ク]:そうなんです。システム更新の際の第一候補だった製品は当時後取りにしかならず、先に使っていた人が突然キーボードマウスを奪われてしまう。それを変更したり制限する設定があるかどうかが、導入検討時は分かりませんでした。その点ADDERはキーボードマウスの取得方法も選べる上(View Only/Shared Access/Exclusive/Private)、端末の切り替えスピードも当時使っていたKVMシステムに比べて断然早かったです。また、別売のX-Keyを一緒に使うことで、キーボードショートカットではなくボタン1つで端末切り替えができることが非常に良かったです。
KVM製品もピンキリなので、安価な製品はたくさんありますが、やっぱり品質はある程度金額に比例すると思っています。ADDERは決して(価格が)安いとは言えませんでしたが、費用対効果が高かった事が導入するに至った理由の1つです。
[タ]:御社はADDERのマトリクスシステムを国内でも早い段階で導入していただきました。
[ク]:そうですね。正直ADDERは当時まだまだ発展途上だった面もあるのですが、それでもデモンストレーションで見せていただいた使用感や性能に惹かれ、こちらの要望にもぴったりはまっていました。ただ、16台のPCを切り替える予定だったのですが、システム導入した当時はまだ、接続する数が増えるほど切り替えスピードが遅くなってました(笑)。それから半年後に新しいモデルユニットとファームウェアバージョンがリリースされ、そちらに入れ替えてからは問題なくスムーズにKVMの切り替え作業ができる様になりました。
[タ]:ちょうどInfinityの新しいモデルがリリースされるタイミングだったんですよね。その節は色々とありがとうございました。ADDERをもう5~6年ほど使っていただいていますが、使用感はいかがですか?
[ク]:導入してから5~6年経つので、最近は経年劣化で少しずつ不調が現れることもありますが、以前のKVMシステムの操作性と比べると、かなり使いやすくなっているので、すごく重宝しています。先ほども言いましたが、切り替えがX-Keyのボタン1つで行えるし、反応がとにかく早い。時間がなく急いでいる時に1度KVMシステムにログインするのは意外と面倒くさいんですよ。なので、切り替えがボタン1つで素早く行えるのは、かなりメリットだと思います。
[タ]:ここのシステムはX-Keyと一緒にADDERのAPI機能を使ったシステムを導入しているため、切り替えの信号をRXを介さず、直接AIM(Infinity systemのマネージメントユニット)に送っているので、キーボードショートカットで切り替えるよりも、その分さらに切り替え速度が速くなっています。この様なAPIを使った外部切り替え装置を付属させ、性能をブラッシュアップさせられるのはADDERの利点です。
[ク]:このオプションは本当に作業効率をあげました。
[タ]:ありがとうございます。気に入って使っていただけて嬉しいです。ちなみにADDERも含めて、こういう機能が将来的にあればいいな、といった要望はありますか?
[ク]:そうですね、やっぱり無線ですかね。ただ、無線は “いざ現場で落ちたら・・・” というリスクがあるので、KVMシステム全部が無線で飛ばなくてもいいんです。例を挙げると、可動式システムを1つ作ったとします。そのシステムに無線のTXとRXが搭載されていて、インジェストルームや収録現場でもチェックができる、とかですかね。簡易的にレシーバーを持ち運んであっちこっちでKVMシステムの操作ができると、汎用性があるかな、と。
[タ]:テンポラリーで気軽に増設できると良い、というイメージでしょうか?
[ク]:そうですね。イメージですが、無線で中継車ともつながる様になると、より使い勝手が良くなるかなと思っています。
[タ]:なるほど。ちなみにADDER製品の今後のラインナップとしては、Display portの映像入出力を搭載したものが主流になってきます。実際にDPが必須という案件も増えてきているのですが、御社はどう感じますか?
[ク]:弊社のシステムはMacで行っているので、もちろんDPでもいいと思います。逆にPCからすれば、DPで接続するしかないですしね。間にサードパーティ製の変換アダプタを通すと、そのアダプタが老朽化するんですよね、意外と。なので、新しくシステムを更新する時はできるだけアダプタ類は間に噛ませずにできるシステムにすると思います。そしたらDPのタイプを選ぶでしょうね。
[タ]:例えばMacを更新した際などですね。今回は貴重なお話をありがとうございました。
導入して以降、長らくADDERを使っていただいているIMAGICA Lab.の湾岸スタジオ様。導入当初は国内でも取り扱いを始めたばかりで、ADDERの製品自体のスペック不足の問題がありましたが、現在のシステムでは大きなトラブルもなく、スムーズに作業を行っていただけております。
今回ご紹介したシステムはINFINIFYシリーズのベーシックなモデルですが、そのほかにも4K対応やバーチャル環境と混在したシステムにも対応できるKVM Matrix製品、ラックスペースを必要としないCAMタイプのトランスミッター(DVI/VGA/DP対応)など、様々なユニットをご用意しています。
KVMシステムの構築をご検討中の方は、ぜひ弊社営業窓口へお問い合わせください!
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ADDERLink™ INFINITY / ALIF4000 Series / ALIF3000