TAC INFORMATION TACオンラインストアはこちら

Burl Audio 製品レビュー プロダクトレポート|吉田保氏にお試し頂きました。

Burl Audio Product Review
 
Burl Audio製品を、業界のレジェンドである吉田保氏にお試し頂きました。

吉田保氏は今、海外でも話題になっている70-80年代の日本のCity Popの名作の多くを手がけられたことでも知られている、レコーディング&ミキシング・エンジニアです。

40年近く前の作品であるにも関わらず、現在においても、日本のみならず海外を含めた多くのリスナーから支持される多くの作品のミックスに携わってこられており、希有な才能を持たれた方です。

 

 

吉田保(レコーディング・ミキシング・エンジニア):プロフィール 

1968年、東芝EMI録音部入社以来、数々の名作の制作に携わる。
参加作品:大滝詠一 、山下達郎、竹内まりや、はっぴいえんど、吉田美奈子、松田聖子、ハイ・ファイ・セット、カルロス・トシキ&オメガトライブ、ピチカート・ファイヴ、南佳孝

 

 

 お試し頂いたシステム

  • B2 BOMBER DAC /2ch DAコンバーター
  • BAD4 DAUGHTER CARD/4ch ADコンバーター
  • BAD8 DAUGHTER CARD/8ch ADコンバーター
  • BDA4M DAUGHTER CARD/4ch DAコンバーター
  • BDA8 DAUGHTER CARD/8ch DAコンバーター
  • B26 ORCA/Control Room Monitor

 

試聴曲:吉田美奈子/ 1982年のアルバムLIGHT'N UPから/LIGHT'N UP、ハイ・ファイ・セット/1985年のアルバムIndigoから/レインボウ・シグナル

 

 

ミキシングの音密度が上がり、より細部まで聞こえてくるようになった
バウンスした時よりより艶っぽく倍音がクリアーに聞こえてくる

Tac:それで、今回Burl Audi製品のお試しをしていただいたのですが、サウンドに関してどのようなご感想を持たれましたでしょうか?

吉田:ミキシングの音密度が上がり、より細部まで聞こえてくるようになったと思います。

 

Tac:実際お仕事でも試されたとのことですが、如何でしたでしょうか?因みに差し支えなければ、どのアーティストのどの作品でしょうか?

吉田:今回は杉真理の7枚アルバムの中から音楽配信用にマスターリングしたアルバムの1枚でアルバムタイトルはFLOWERSです。

 

Tac:そのマスタリング作業は、Burl AudiのAD/DAをどのように使って行われたのでしょうか?

吉田:まず、マスタリングアプリのWAVELABで元になるマスタリングサウンドを作りオフラインバウンスしたファイルをBurl Audio B2 DAから再生し、それをそのままBurl Audio B2 ADで録音しました。それがマスターとなりフォーマットは96k 24bit wav Format です。

 

Tac:その他に何かプラグイン等は使用されましたでしょうか?

吉田:マキシマイザーとしてL3-16マルチバンドコンプやEQを使用いたしました。

 

Tac:実際に仕上がった作品に対する感想は如何でしたでしょうか?

吉田:バウンスした時よりより艶っぽく倍音がクリアーに聞こえてくる感じがとても気持ちよく感じられます。

 

Tac:B2 BOMBER DAC とB80 MOTHERSHIPに下記のドーターボードを組み込んだ状態の物もお試し頂いたのですが、B2 BOMBER DAC とBDA4M とBDA8其々の違いは如何でしたでしょうか?

吉田:BDA4MはBX5トランスのOnとOffの切り替えが出来て、音色を切り替えられるのが良いですね、Onだとよりミッドレンジの情報量が増える感じでよりアナログっぽくなる気がします。BDA8はBDA4Mよりクリアーでフラットなサウンドに聞こえますしB2 DACはBDA4MとBDA8の中間のサウンドに聞こえます。

 

Tac:普段は192I/Oも聞かれているようですが、違いはどうでしょうか?

吉田:192I/Oはいつも聞いているから、慣れているけど、Burlで同じ曲を聞くと、凄くハイファイに聞こえる。それに3D感というか凄く立体的に聞こえる。192I/Oがダメという意味じゃないけど、Burlで聞くと凄く良い。この前は吉田美奈子のLIGHT'N UPを聞いたけどボーカルにかけている4.2秒のリバーブのテイルまでしっかり綺麗に聞こえる。

 

Tac:それはオリジナルをミックスされた1982年当時のスタジオで聞いていた感じなんでしょうか?

吉田:どうかなー。よく思い出せないけど、Burlから聞こえるサウンドはもう何も足したり引いたりする必要がないと感じる、これをそのまま録ればいいんじゃないかな。

 

Tac:確かに。そう言えば海外のBurlユーザーのエディ・クレイマーもジミ・ヘンドリックスのリマスターをBurlでDAしてBurlでADしたと言っていました。そのリマスター聞いたことあるんですが、60年代に録音された素材とは思えないくらい、今のサウンドになっていて昨日録ったのかって思うくらい新鮮なサウンドになっていたんです。当時の録音が意外に良いというのもあるんでしょうが。確か当時はアナログのAmpex AG440のマルチを使っていたらしいですが。

 

 

AD/DA界のロールスロイスかAD DA界のルパート・ニーヴ

Tac:ところでBurlのADコンバーターのサウンドはどうだったでしょうか?

吉田:AD/DA界のロールスロイスかAD DA界のルパート・ニーヴ

 

Tac:その他Burl Audio製品、全般的な印象は如何でしょうか?

吉田:人によって好みや印象は違うとは思うけど、Neveっぽいですね。

 

Tac:それはその、所謂、高音域がシルキーな感じがするということでしょうか?低域はどうでしょうか?

吉田:低域もNeveっぽい、ちょっと太くなってふわっとしてくる感じが似ている気がしますね。

 

Tac:それは吉田さんが80年代当時にNeveのミキサーを使ってミックスされていた時に感じられた印象に似ているのでしょうか?

吉田:似ています。

 

Tac:ではBurl Audio製品を使って当時の作品をリミックスとかリマスターした方が、当時の感じに近くなるのですか?

吉田:Burlを使えばあまりいじる必要がなくなっちゃうかもしれませんね。

 

Tac:従来の方法だと、2Mixにマスターされた6mmのアナログテープからADコンバーターを使ってデジタルマスターを作る訳ですが、その時、アナログにあった情報の何かがデジタルで失われた感じがしてEQやコンプやその他色々な事をして補正しようとするという話を聞きます、Burl Audio製品を使うとそのようなことをしなくともいいということでしょうか?

吉田:まあ、ゴリゴリのEQはしなくていいんじゃないですか。

 

Tac:それは杉真理さんの時もゴリゴリのEQはされなかったのでしょうか?

吉田:マスタリングの場合って、そもそもゴリゴリのEQはしません。

 

Tac:ではその時は極小のEQで済んだということでしょうか?

吉田:極小のEQしかしてないです。

 

Tac:コンプはどうでしょう?

吉田:コンプは曲想変えないよう掛け曲想が変わらないよういつも通りにかけました。

 

Tac:杉真理さんの場合はどうだったのでしょうか?

吉田:マルチバンドコンプをかけました。

 

 

艶っぽさは、私は好きですから!

Tac:Burl Audio製品を使った際の杉真理さんのマスターの仕上がりの印象はどうだったでしょうか?

吉田:ハイレゾっぽいというか、艶っぽくなりましたね。

 

Tac:それは求めているサウンドでしょうか?艶っぽさというのは?

吉田:艶っぽさは、私は好きですから!

Tac:なるほど!

 

Tac:因みにですが、他社のAD/DAを使った場合はどうなるのでしょうか?やはり、よりEQやコンプはかけて行きたくなるということなんでしょうか?

吉田:そーですねー。他のだと、高域の周波数が足りないような気がしてくるから、EQしたくなります。20K Hz以上は聞こえてない筈だけど、何かが足りないような気になってくる。

Tac:なるほど、そうなんですね。

 

Tac:70年代の他のレコードの音質は高音がもこっとしたものも多かった印象がありますが。でも吉田さんのは凄いHi Fi感があったと思うんです。

吉田:それはHi Fiじゃないと思いますけれど。

 

Tac:でも高域はもこっとはしてなかったですよね?

吉田:高域はもこっとはしてないけど、高域が伸びている感じがするというだけでは、Hi Fiとは言えないと思います。

そういう風に聞こえさせるようにミックスすることはできるけど。実際、当時のアルバムとかは、決してHi Fiじゃないと思います。

 

Tac:でも凄くスカッとした音の印象があります。

吉田:スカッとした感じですけど、決してHi Fiじゃない。原音に忠実というのじゃないと思います。

 

Tac:確かに原音に忠実という感じはしないです。確かにあの頃の楽曲が原音忠実の方向でミックスされていたら、随分印象が違っていたと思います。

吉田:つまんない感じでしょう。

 

Tac:ベースがドーンと出てブラスとリバーブがパーっと出てがいる感じが、爽やかな感じを出していますよね。

吉田:それはHi Fiとは言えないと思います。

Tac:確かにあれがクラシック音楽の様な感じで原音忠実で鳴っていたら、むしろ違和感があるかもですね。

 

Tac:実際に鳴っている楽器がしょぼい音の場合、それを原音忠実で録っても結局しょぼい音が再生されるだけで、それは音楽として楽しくないかもしれないですね。

吉田:だから何でも、どんな楽器でもそれらしい良い音っていうのがあるんですね。マイクで録音した時点で原音じゃなくなっちゃうんだしそこから録った音でもっとそれらしい音に聞こえるように作るというのが、大事なんです。

Tac:なるほど。

吉田:例えばサキソフォンだったら、もっとサックスらしいイメージしたサックスの音があるから、それらしき音に作っていく。そうすると生音とは違う音なんだけど、よりもっとサックスらしくなっていく。

吉田:それとアナログからデジタルになった方が、よっぽど良い音が録れます。

 

Tac:でもデジタルになって、加工の自由度は増えたとは言えますが。でもまだ超えられない部分はあると思いませんか?どれだけプラグインを使っても。。

吉田:それはあると思います。それは元の音をちゃんと録ってないとね。

 

Tac:Burlを使うとらしい音というか、音楽的になる印象があります。話は変わりますがヨーロッパのメーカーのものだと、割に原音忠実というか、地味目な音というか真面目な感じの傾向があるように思えるのですが。

吉田:楽しくないよね。良い音だけど楽しくはないよね。

 

Tac:アメリカのものは良い音はしてないけど、楽しい音がしているよね。

吉田:ヨーロッパはやっぱりクラシックの音だよね。ベルリンフィルの音は素晴らしいと思う。凄いなーこれ、どうやって録ってるんだろーと思う時があるよ。

 

Tac:テープレコーダーもアメリカ製とヨーロッパ製で、音が違っていましたが。

吉田:違うよね。AmpexはやっぱりRockだよね。Studerは綺麗になっちゃうね。歪みが無いからかな。同じテープを使ってもね。

 

Tac:その辺はお国柄というか、地域性がでるのでしょうか。

吉田:私は東芝でStuder系が多かったけど、SonyもStuder系か。。ヨーロッパ系だね。Neveも。

 

Tac:でもNeveは原音忠実では無いですよね。

吉田:そう、原音忠実じゃない。決して原音忠実じゃない。でも艶やかな音がするね。

 

Tac:原音忠実だと艶やかな音はしないですよね。

吉田:ならない、ならない。

 

Tac:Burlはどうですか?

吉田:艶やかだよね。

 


 

プロダクトリスト